新倉屋は戦後まもなく開業したというとんでもない歴史を持つ店で、外国人観光客であふれる新倉富士浅間神社の近くに位置しています。吉田うどんにしては細くモチモチした麺にすっきりとしたつゆがからみ、讃岐うどんのようにソフトでのど越しを楽しめました。
是非こちらもご覧ください
とんでもなく歴史のある店らしい
新倉屋は中央道下吉田バス停から新倉富士浅間神社へ向かう道に面するうどん店です。
建物の見た目が民家そのものだったので特に何も意識せずに通り過ぎましたが実は戦後まもなく開業したというとんでもなく歴史のある店で、1994年6月に現在の地に移転したといいます。
当時の吉田うどんは具としてキャベツしか載せていなかったということですが、新倉屋が一番早くうどんに馬肉を載せたと言われています。
下吉田駅から「富士山眺望日本一」の忠霊塔を目指して外国人観光客がゾロゾロ歩く道からは外れているので地味な存在ではありますが、吉田うどんを語る上では欠かせない店のようです。
香川よりうどん屋の密度が濃い富士吉田
昭和初期、織物業が盛んだった富士吉田では機織りをする女性の手を煩わせることがないよう男がうどんを打ったといいます。ほうとうと違って塩水を使用し、力任せに生地をこねたため歯ごたえのあるねじれた太麺が主流となりました。
また、機織りの関係者や織物を買い付けに来た商人たちに自宅の居間などでうどんを振舞ったことが現在まで伝わり、下吉田地区の吉田うどんの店は玄関で靴を脱いで小上がりの座敷に上がり、座布団に座ってうどんを食べるというスタイルが主流となっています。
つゆは味噌と醤油をブレンドしたものが一般的で、ゴマ・山椒・唐辛子等を使用して店ごとに研究を重ねた「すりだね」と呼ばれる薬味で「味変」するのがお決まりとなっています。
Wikipediaによれば「5万人規模の富士吉田市には60軒以上のうどん店があり、およそ1000人に1軒の高い比率である。」とされています。
一方「讃岐うどん全店制覇攻略本2022-23」によると香川県内のうどん屋は603軒なのだそうで、全人口が約96万人ということなのでおよそ1600人に1軒ということになります。
「うどん県」を名乗る香川よりも地域内のうどん屋の密度が濃いということであり、これは相当なものではないかと思います。その中でも元祖と言ってもいい店が新倉屋です。
店は民家の一室だった
玄関で靴を脱いで座敷に上がるというタイプの店が多い吉田うどんの中でも新倉屋は民家そのものという店構えで、道路側に置かれた誘導看板と暖簾がなければ誰もうどん屋だとは思わないでしょう。
案内が特になかったので、本当にここに座っていていいのか少々ドギマギしました。
吉田うどんは讃岐うどんと同様に店によって注文の仕方が違うようで若干の緊張を要します。新倉屋の場合はこちらの紙に自分で注文を記入して奥の厨房までもって行きます。
吉田うどんの名店
もちもちした啜りこめるうどんだった
私が注文した肉うどんの普通盛です。馬肉を玉ねぎと煮込んでいるのはこちらだけの工夫のようで、コンビーフのような甘みを感じました。つゆは削り節、利尻昆布、煮干しを使用しています。味噌ベースと醤油ベースをブレンドしたものですが、若干醤油が強いようですっきりとした味わいでした。
麺は吉田うどんの中ではかなり細めです。もちもちした口当たりで表面はつるつるしており、勢いよく啜りこむことによりのど越しを楽しむことができました。3種類の粉をブレンドする独自の製法を使っており、吉田うどんとしては柔らかくてコシのある麺となっています。
ごま、七味、一味を使用しているという新倉屋のすりだねはかなりねっとりとしていました。
スッキリとしたつゆにピリピリ感が加わることにより味に深みが加わりました。
全体としてはソフトで讃岐うどんにかなり近いものを感じました。吉田うどんは思っていた以上に奥が深い世界なのかもしれません。
新倉屋について
主なメニュー
肉うどん(普) 450円
天ぷらうどん(普) 450円
鍋焼きうどん(普) 650円
替え玉 150円
地図
店舗概要
営業時間 11:00~14:00
定休日 火・水曜日
このブログのイチオシ記事
「評価に値する」と思われたらワンクリックお願いします。読者登録とブックマークを頂けるともっと嬉しいです。