「きしめんは新幹線ホームで食べるのが一番うまい」というのは本当なのか、名古屋駅の新幹線ホームと在来線ホームの「住よし」を食べ比べました。両者の違いは意外なところにありました。
- 「住よし」は本当に新幹線ホームが一番うまいのか?
- 自分で食べ比べてみようと思った
- 新幹線ホームはスピードが命
- 在来線ホームは天ぷらが揚げたて
- 「気分の良さ」の違いは大きかった
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「住よし」は本当に新幹線ホームが一番うまいのか?
「名古屋メシ」といえば味噌カツやあんかけスパ、ひつまぶし等々、様々なものが浮かびますが、名古屋駅の構内だけに限ってみればきしめんであることは間違いないと思います。
名古屋駅には新幹線と在来線を合わせて8本のホームがあり、その内で12・13番線を除く7本のホームになんと11店ものきしめん屋があるそうです。(すべてのホームにあると思っていましたが、どうやら違うらしい。)その中で最も有名な「住よし」は1961年に3・4番線ホームと5・6番線ホームに出店したことをきっかけとして拡大を続け、1983年には新幹線のホームにも進出し、現在では構内で断トツの7店舗を展開しています。
新幹線ホーム上の店はたびたびテレビでも取り上げられるほど有名で、「きしめんは新幹線ホームで食べるのが一番うまい」という話は様々な場所で聞いてきました。その一方で「在来線3・4番線ホームの店が一番うまい」という口コミもあちこちで目にしています。(私も一度食べに行った。)ただ、その両方を食べ比べたというレポートはこれまで見たことがなく、それが不満でした。
自分で食べ比べてみようと思った
新幹線ホームと在来線ホームの最大の違いは到着する列車の本数です。
超過密ダイヤである新幹線は数分間隔で列車の発着があり、ホームは常に混雑しています。大勢の客をさばくためにメニューも早く出せるものに限定し、客の顔を見ると注文を聞く前に取り敢えず麺を茹で始めるという話を聞いたことがあります。
それに対し在来線ホームの場合は列車の本数がそれほど多くなく、混雑の度合いも新幹線ホームとは比較にならないくらい穏やかです。時間的な余裕があるため出せるメニューの数も多く、天ぷらも注文が入ってから揚げ始めることも可能です。新幹線ホームの店で出される天ぷら類は、在来線ホームの店で揚げた物を使用しているともいいます。
しかし名古屋駅のきしめんに関しては都市伝説的な話も多く、どこまで信じていいかよくわからない部分もあります。
そこで「CBCラジオ夏祭り」の観覧で名古屋を訪れる際、全て自分で確認してみることにしました。
駅のホーム上の超有名店
新幹線ホームはスピードが命
新横浜からのぞみ315号に乗り、名古屋に到着したのが10時45分です。4号車だったのでホームに降りたら目の前に住よしがあり、あたりにダシのいい香りが漂っていました。
やはり新幹線ホーム上の店は雰囲気が違います。
開業当時の懐かしい写真が貼られていました。
メニューに関しては特に考えておらず、ただ新幹線と在来線で同じものを注文しようということだけ決めていました。一番上に大きなボタンが3つあり、そのうち最も左手がおすすめメニューなのでしょう。ということで「かき揚げきしめん」を注文することにします。客は全員何らかのきしめんを注文するわけであり、「客が店に入ってきたら即座に麺を茹で始める」と聞いていましたが、実際は食券の中身をきちんと確認していました。
厨房にフライヤーがなかったので、やはり天ぷらは他から持ってきているようです。麺は冷凍で間違いないようで、だしはあらかじめブレンドした削り節を使って店ごとにとっているとのことです。
注文してからきしめんが出てくるまでに要した時間は約1分半という短さでしたが、間髪を入れず出てくるんじゃないかと思っていたので少々意外でした。
かき揚げがつゆを吸ってホロホロと崩れる一方、エビが殻付きのままなのでそこだけは硬さと香ばしさがあります。
麺は口当たりが滑らかで、柔らかでありながらコシや弾力もしっかりとありました。スッキリとしたつゆやエビの風味が強いかき揚げとの取り合わせもよく、相当にハイレベルの店ではないかと思います。
駅構内の店としてはかつて高松駅にあった「連絡船うどん」を思い出させるものがありました。
在来線ホームは天ぷらが揚げたて
新幹線ホームの次は在来線ホームです。ネット上の書き込みを見てみると3・4番線ホームの店がやたらに評判いいようなので、在来線ホームの店としてはこちらを選ぶことにしました。
店の雰囲気は新幹線ホームと随分違い、「入りやすさ」という点ではこちらの方がいいようです。
「3・4番線ホームは天ぷらが揚げたて」という書き込みを見たことがありますが、在来線ホームは全て店内にフライヤーがあり、揚げたての天ぷらが供されます。じつは3・4番線ホームは発着する列車の本数が最も少ないそうで、その分だけ利用客の数は少なくなります。そこで新幹線ホームの店で使われる天ぷらは全て3・4番線ホームの店内で揚げられているとのことです。
こちらでも「かき揚げきしめん」を注文しました。メニューの数としては新幹線ホームとほとんど変わらないようであり、「大勢の客をさばくためにメニューも早く出せるものに限定している」というのはどうやら誤解だったようです。ただ、在来線ホームの場合は全てのメニューが「きしめん・そば」となっており、食券だけ出すと「きしめんですか?そばですか?」と聞かれます。
フライヤーの隣に置かれたバットの上にかき揚げやエビ天が盛られていますが、注文してもこちらには一切手を付けず、新しくかき揚げを揚げ始めたようです。バット上の天ぷらはどうやら新幹線ホームのためのもののようで、しばらしくして別のスタッフが袋に詰めて持って行きました。
やはり新幹線ホームよりも時間がかかり、きしめんが出てくるまで3分半ほどかかったと思います。当然ながら麺とつゆは新幹線ホームと全く同じで、天ぷらは揚げたてである分だけこちらの方がうまかったような気がしました。しかし目隠しをして出されたら絶対に見分けがつかないと思います。
「気分の良さ」の違いは大きかった
住よしのきしめんを新幹線ホームと在来線ホームで食べ比べてみましたが、味の点でははっきりと分かるような差はありませんでした。
しかし自分用の天ぷらが揚がるのを待っているのは想像していた以上にワクワクするもので、「気分の良さ」という点で両者の差は大きかったのではないかと思います。皆様も名古屋駅では在来線ホームできしめんを食べてみてはいかがでしょうか。
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