今回は「ふくすけ」をご紹介します。全国各地に存在するご当地うどんの中でも伊勢うどんは超個性的な存在で、平成25年の実施された式年遷宮の際によくテレビで紹介されていました。独特な柔らかさばかりが特徴として強調されていますが、食べてみるとそれだけではありませんでした。
- 伊勢うどんとは?
- 江戸時代から続く超人気店「ふくすけ」
- 人気スポットの「おかげ横丁」に面する「ふくすけ」
- 単に柔らかいだけではなかった
- 柔らかさに加えてコシもある
- 「コシがある」と「硬い」を混同している人が多すぎる
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伊勢うどんとは?
伊勢うどんとはその名の通り伊勢市を中心とするエリアで食べられているうどんで、徹底的に時間をかけて柔らかく茹でた極太麺に、たまり醤油にだしを加えた黒く濃厚なたれをからませて食べます。具やトッピングが少なく、薬味の刻みネネギだけで食べることがほとんどです。
極太麺であるために、麺を茹でる時間が非常に長く、通常のうどんが15分程度であるのに対して1時間近く茹でるといいます。常に茹で続けているため釜のなかからすくってすぐに提供でき、汁がないためすぐに食べ終わることができます。そのためお伊勢参りで混み合う客を次々さばくのにも適したメニューであり、現在に至るまで人気メニューであり続けています。
江戸時代から続く超人気店「ふくすけ」
伊勢はそう簡単に訪れることができるような場所ではないので、店選びに関しては事前に入念に情報を収集して検討し、最終的に「ふくすけ」を選びました。
「食べると福がある」ということにちなんで名づけられた店名で、現在でも「伊勢うどんの美味しい店」というテーマでググれば大抵の記事で真っ先に名前が挙げられるような店であり続けています。
人気スポットの「おかげ横丁」に面する「ふくすけ」
「ふくすけ」は「おはらい町通り」と直交した「おかげ横丁」に面しています。「おかげ横丁」は伊勢を代表する人気スポットであるため、週末ともなると観光客で大変に混雑するエリアとなります。
左側の屋根の奥に「伊勢うどん」の「勢どん」という文字が見えますが、こちらがふくすけです。
座敷にテーブルが並んでいますが、それ以外に土間に縁台がいくつも並べられ、そこでも大勢の人がうどんを食べていました。平日で天気が悪かったこともあり、心配していた行列はありませんでした。
店内には講札と呼ばれる看板のような物が数多くかけられています。かつて伊勢詣でのための「講」が全国に数多く組織されており、それぞれの「講」が指定した旅館にはこの「講札」が目印として掲げられていました。講札が数多くかかっていることはそれだけ人気があったという事を意味します。
伊勢うどんの世界
単に柔らかいだけではなかった
「手打ち伊勢うどん」を注文すると番号札を渡され、5分程度で番号が呼ばれうどんが運ばれてきました。次々と訪れる客にすぐに出せるよう、うどんは常に茹で続けているようです。
評判通り極太でふわふわしているように見える麺が印象的です。
思わず「伸びてんじゃねえか?」と心の中でつぶやきましたが、かき混ぜると意外と弾力がありしっかりとだれが絡みました。単に柔らかいだけのうどんならこの時点で崩れてグチャグチャになったはずであり、どうやら柔らかい以外の何かがありそうです。
食べてみると実に不思議な食感です。ふわふわモチモチしていますが、柔らかい中にどこか一本芯が通っていて全体的にはシャキッとしています。食物繊維がいっぱい入っているような感じで、事前に想像していたイメージとは全然違っていました。
そうであるなら話は簡単です。余計なことを考えることなく一心不乱に貪り食い、たちまちのうちに完食しました。
柔らかさに加えてコシもある
柔らかいうどんといえば「道頓堀今井」のきつねうどんが有名ですが、これはだしの旨さを十分に味わうためのうどんです。讃岐うどんにおけるぶっかけのようにたれを絡ませるタイプは純粋に麺を味わうものであり、うどん自体がよほどしっかりとしていなければお話になりません。
たれを纏ったふくすけのうどんからは甘辛いたれの味だけでなく、しっかりとしたのど越しも感じました。柔らかいだけではなく実はコシもあるのです。
「コシがある」と「硬い」を混同している人が多すぎる
伊勢うどんを評して通常使われるのが「徹底的にコシをなくした」という表現で讃岐うどんの対極とされていますが、これには疑問を感じています。
「コシがある」ということと「硬いこと」を混同している人があまりにも多すぎではないでしょうか。当ブログでも繰り返し書いていますが、硬いこととコシがあるということは全く別物です。よくできた讃岐うどんもまた柔らかく、それでいて芯の部分にしっかりとした弾力を備えており、これは伊勢うどんと共通しているのです。
ふくすけ
営業時間:10:00~17:00
定休日:無休
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